私達は、象印が有する歴史に裏付けされたブランド力、優れた人材、製品企画・開発能力に深い感銘を受けており、2021年から共同開発を始めましたが、その思いを一層深めています。
一方、近年、減収・減益傾向にあり、再び成長軌道に戻るためには、強みを活かしてグローバル市場へのより積極的な進出が不可欠であると考えております。
しかしながら現経営陣は海外市場を重視していないように見受けられます。
象印が公開する、現経営陣のスキルマトリックスにおいても示されるように、「国際的経験」を有する社外取締役は5名中1名しかおりません。
そこで我々は元山形県知事の斎藤弘氏と関西学院大学大学院教授の石原俊彦氏という、グローバル市場への深い理解と知識、高い能力、豊かな経験を有する人材を提案しました。
昨年12 月24日には、象印の指名・報酬委員会の全委員と本株主提案において提案した2名の社外取締役候補者との面談が実施され、意欲的かつ誠実に同委員からの質問にお答えしたと聞き及んでおります。
しかしながらその後、コミュニケーションのないままに突如、象印取締役会が本株主提案に対して反対の意見を表明されたことは2人の候補者への十分な理解がなされておらず、率直に残念であると考えます。
ここ数年の象印は、売上・利益が下降傾向にあります。
しかし、株主への配当は減収減益傾向の業績にも拘わらず高止まりしています。 利益の中からどの程度を株主に還元し、どの程度を将来の成長に投資するかは、重要な経営判断です。
5年にわたり減収減益傾向が続いているのであれば、得られた利益の大半を投資に回し、将来の成長の種とすべきです。 また、優秀な人材を維持・獲得するため、社員への給与増にも利益を用いるべきです。
将来の成長や社員への貢献に報いることなく、多額の株主配当を続けることは、安易な経営判断ではないでしょうか。
私達も創業家一族の皆様と同じく株主として多額の配当を受けていますが、
「この配当を将来への投資に用いれば、もっと成長できるのではないか」
「取引先にもビジネスチャンスが生まれるのではないか」
「優秀な従業員に報いるため待遇改善に用いるべきでないか」との思いにかられていました。